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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和24年(控)682号 判決

被告人

新宅金治

主文

原判決を破棄する。

被告人を罰金二万五千円に処する。

右罰金を完納できないときは百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

押收に係る(一)人絹糸百五十封度(二)織機等に仕掛中の人絹糸百五十封度中格子縞織物二疋を織上げた以外のものは之を沒收する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(前略)しかしながら職権を以て考察するに原判決が沒收した人絹格子縞織物二疋は記録に徴すれば被告人が買受けた人絹糸を製織して生産したものではあるが人絹糸それ自体ではない、而して刑法第十九条に所謂犯罪行為により得たるものとはそのもの自体に何等変更を来していない当初の儘のものを指称し、そのものに工作を加えた結果、性質、用途、価格等に於て犯人が得たる当時とは社会通念上別物と見られるに至つた時は最早や犯罪行為により得たるものとは言い得ない。従つてこの場合右の物件につき責任を追求せんとすれば沒收不能として之を換価しその価格を追徴する外はない、原判決が織物二疋を沒收したのは誤りでありこの点において破棄を免れない。

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